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西田ゼミ(作業療法士)

印刷用ページを表示する 2025年4月16日更新

西田征治  (教授,作業療法士) 身体?老年作業療法学

研究室のテーマ

認知症の人と家族が生き生きと心豊かに暮らせる社会づくりに貢献する研究と地域活動を行います!       

学部のゼミ                   

西田ゼミでは,認知症の人が生き生きと心豊かに暮らせる社会づくりに貢献するため,臨床研究と地域活動に取り組んでいます.ゼミの特徴は,学生が一丸となって実際に地域や病院に出かけるフィールドワークをすることです.”楽しみながら,地域や社会に貢献する”を合言葉に頑張っています!

(2025年度の取り組み)

坂本助教のサポートを得ながら,4名の学生が自身の興味ある研究に取り組んでいます。1人目は,入院している認知症の方に対して帰宅願望の出る時間帯に楽器を使った音楽活動を提供し,不安などの症状が落ち着き,良い状態で過ごせるようになるかを検討しています(下図)。2人目は,一般病院に入院している認知症の人が自宅復帰するために,作業療法士はどのような住環境整備の支援を行っているかを明らかにする調査を行っています。3人目は,認知症の人を介護する家族が自身の介護を受け入れるようになるためのプロセスを調査しています。4人目は,私たちが開発した活動の質評価法(A-QOA)がこどもの活動を評価するのに活用できるかを検証しています。このように実際に認知症の人や家族,専門職の方々からお話を聞いたり,活動を一緒にしたりしながら学生は多くのことを学んでいます!

音楽鑑賞2

 

(2024年度の取り組み)

3名のゼミ生が配属され,それぞれの研究テーマに従って研究を推進しています。1人目は,入院されている認知症の方を対象に,活動にもとづく介入プログラム(aPAQ)を試行し,その効果を検討しています。具体的には,独自に作成した「活動処方せん」を参照し,夕方の無為に過ごしやすい時間帯に音楽鑑賞の活動を提供し,その効果を行動心理症状や活動の質の観点から検討しています。2人目は,認知症カフェに来られている認知症のご本人とご家族を対象に,メモリーブックを作成して実際に使っていただき,その効果と活用方法を探索しています。3人目は,坂本助教の指導を仰ぎながら活動の質評価法(A-QOA,アコア)を使った介入研究をしています。具体的には,学生がA-QOAの視点を学習することで認知症の人の活動質を高められるかを事例を通して検討しています。

なお,活動の質評価法(A-QOA)は,私たちが独自に開発した評価ツールで,主に認知症の方が塗り絵などの活動を行っているときの状態を観察から評価するものです。詳しくはホームページ「https://www.a-qoa.com/」をご覧ください。

音楽鑑賞 メモリーブック

 

(2023年度の取り組み)

3名のゼミ生がそれぞれの研究テーマに従って,協力し合いながら研究を推進しました。一人目は,認知症の人を介護している家族に対してZOOMを用いたオンラインカフェを月に1回20時~21時まで開催し,その効果や課題について検討しました。オンラインカフェを開催する前には喫茶店で説明会を開催しました。結果的に5名の方が参加してくださりました。二人目は,認知症の人を介護している男性家族会の参加者にインタビューを行い,男性ばかりであることの利点や課題を調査しました。三人目は,全国の認知症治療病棟にアンケートを配布し,認知症の人が自宅に帰るための取り組みについて実態を調査しました。このように学生は,地域の中の問題や課題について考え,その解決策を見つけるためのフィールド研究を実施しました。

説明会 オンラインカフェ

(2022年度の取り組み)

3名のゼミ生が在籍していました。一人目は,認知症カフェに参加されている方を対象に「遊び回想法」と「会話回想法」をしているときの状態の違いをA-QOA(アコア)を使って検討しました。A-QOAは私たちが開発した認知症のある人が活動をしているときの状態や活動をしているときの結びつきの強さを評価するツールです。二人目は,認知症の人を地域で支えるボランティアである「チームオレンジ」の取り組みを積極的に行っている市町の行政の方にインタビューして情報を集め,作業療法士の活躍の機会について検討しました。三人目は,認知症のある人が地域や社会に貢献する活動を積極的に行っている通所施設の作業療法士や認知症のある人にインタビューを行い,「はたらくこと(有償?無償の貢献活動)」の効果や意義をまとめました。学生は認知症のある人が通所施設の作業療法士のサポートを得ながら地域の人たちに貢献する活動をすることで「認知症になってよかったと思えるようになった」という言葉を聞き,感動しているようでした。

 遊び回想法 インタビュー

 

(2021年度までの取り組み)

2021年には,3名のゼミ生が認知症のある人を介護する方を対象として家族教室を開催し,その効果を検証したり,祖父を元気にする訪問活動を試みたりしました。

家族教室1 家族教室2

2020年には,3名のゼミ生が大学祭で認知症の方とそのご家族様と一緒にレモンカフェをオープンしてその意義や運営の課題を検討したり,認知機能を刺激するために独自に作成した冷蔵庫在庫管理セットの効果的な使用方法を探索したりしました。

レモンカフェ2 冷蔵庫在庫管理

2019年には,4名のゼミ生がユニットケアを取り入れた認知症デイケア施設や、広島市の若年性認知症のある人の集いの場を訪問し、取り組み内容,意義や課題を調査しました。また、誰もが気軽に立ち寄れる場として,近年注目されているコミュニティカフェについて,活動を継続するための秘訣や工夫を調査するため京都?福岡?東京のコミュニティカフェを訪問し調査を行いました。これらの調査で得た情報をもとに、実際に三原市内にコミュニティカフェ(音なりカフェ)を開設し,その意義や課題を検討しました。

音なりカフェ

2018年以前には,沖縄の若年性認知症の方を対象とした認知症カフェを訪問し,参加を促す促進因子や,ブレーキをかける制限因子を調査しました。また,実際に認知症カフェの運営を支援しその効果を検証したり,病院デイルームの環境を作業との結びつきが促進されるよう変えることで認知症の人の幸福感がどのように変化するかを検証しました.これの研究成果は,卒業後に学術論文として専門雑誌に投稿したり,学会発表したりしています。

ラン伴 沖縄カフェ 学会発表

卒業研究のテーマ
年度 研究テーマ
2025
  • 回復期病棟での認知症の人への住環境整支援のプロセスーその人らしい生活を送るために作業療法士がすること-(仮)
  • 認知症治療病棟での活動処方箋に基づき音楽活動を実施することの効果の検討(仮)
  • 認知症の人の家族介護者が自身の介護を受容するプロセスの探索(仮)
  • 活動の質評価法(A-QOA)は子どもの活動の質をみることができるのか?(仮)
2024
  • 作業療法学生による活動の質評価法の学習が認知症の人の活動の質へ与える影響:事例報告
  • 認知症治療病棟における活動処方箋を用いた介入プログラムの試行
  • 認知症当事者と家族が協働してメモリーブックを作成し活用することの有用性:認知症カフェでの試み
2023
  • オンライン家族カフェの実施における成果と課題
  • 認知症の人を介護する男性家族会の利点と課題-ある家族会へのインタビューよりー
  • 認知症治療病棟における自宅への退院支援の実態調査
2022
  • チームオレンジにおける作業療法士の貢献の可能性-混合調査法を用いた活動内容の調査から-
  • 認知症の人が通所施設ではたらくことの意義?効果 -インタビューとウェブを用いた混合調査-
  • 認知症のある高齢者を対象とした会話回想法と遊び回想法の活動の質の違い
2021
  • 祖父を元気にする訪問の試み-元気になる活動の探索-
  • 作業に焦点を当てた認知症家族教室の効果検証
  • ダブルケアを行う不安の強い女性に対する認知症家族教室の影響
2020
  • レモンカフェの試み~認知症高齢者にとって望ましい運営方法の探索~
  • 認知症高齢者がレモンカフェに参加する意義
  • 冷蔵庫在庫管理セットの効果的な使用方法の探索
2019
  • ユニットケアを取り入れた認知症デイケア施設の利点と課題
  • 若年性認知症を持つ人が集いの場に参加することの意義
  • 3 年以上活動を継続しているコミュニティカフェの特徴
  • コミュニティカフェの試み ~音なりカフェにおける成果と課題
2018
  • 興味?関心のある活動を基盤にした認知症予防教室の実践の効果
  • 家族が認知症者の日常生活の遂行能力と尊厳を高めるために必要な要素
  • 軽度認知症を持つ人のもの忘れによる生活上の問題が生起しないようにするための方略の探索
  • ものづくり健康促進サポーター派遣事業運営における成果と課題
2017